なぜ蛇口から水が出るの?
普段何気なく使っている水道ですが、なぜハンドルやレバーを操作すると吐水口から水が出てくるのかをご存知ですか?今回は、意外と知らない“蛇口から水が出てくる仕組み”について、蛇口の種類別にご紹介します。
併せて、「蛇口の予備知識〜部品の名称と役割を知ろう〜」もご覧ください。
単水栓
単水栓は、水もしくは湯のどちらかだけを出す、機能が一番シンプルな水栓です。水道文化が始まった早い時期から生活に欠かせない水栓として日本中で日々利用されてきたので、なじみ深い方も多いのではないでしょうか。シンプルなので、価格が平均的に安いという特徴もあります。
単水栓の水を出したり止めたりする部分をハンドルと呼び、回すことで吐水(水を出す)と止水(水を止める)を制御します。水栓本体の内部は、2つの部屋からできており、部屋と部屋の間には弁座と呼ばれる穴があります。ハンドルの下にはスピンドルという部品があり、その下の箇所にコマがあり、そのさらに下に弁座があるという構造になっています。2つに分かれている部屋の中で、ハンドルと遠い部屋の方には水が溜まっています。ハンドルを閉めている状態のときには、スピンドルがコマを弁座に押し付けて水が出ないようになっています。ハンドルを回すとスピンドルが上がります。それによりコマと弁座との間に隙間ができ、水圧により流れ込んできた水が吐水口から出る仕組みになっています。
単水栓には、壁に取り付けることが多く吐水口が動かないタイプの横水栓や、洗面台などに使われる立水栓、プロ仕様としてレストランなどの店舗の厨房で使われることが多い立形自在水栓など、色々な種類があります。
2ハンドル混合栓
2ハンドル混合栓は、お湯と水を隣接した2つのハンドルで混ぜて、温度と量を調節する水栓です。こちらは、少し前まで浴室への設置 用として選ぶ人が多かった水栓のひとつです。2ハンドル混合栓のお湯と水のハンドルは単水栓と同様の仕組みです。お湯と水のハンドルをそれぞれ回し、湯と水の流れ込む量をハンドルで調節し、手元で湯温を調整する必要があります。
手作業なので、慣れていない場合や初めて使う場所などでは、ハンドル操作ではうまく水温が調節出来ない上、吐水温度が現在何度になっているかを教えてくれる機能もないので、ひどい場合には温度調節がうまくいかず熱いお湯でやけどをしてしまう可能性もあります。利用の際は十分注意を心がけて頂き、お湯のハンドルのみを回してしまうことがないようにお気をつけください。
現在2ハンドル混合栓をお持ちで、リノベーションやリフォームなどを考えられているようであれば、別の水栓に一式、取付け変えることを検討するのもおすすめです。
シングルレバー混合栓
シングルレバー混合栓は、1つのレバーハンドルの操作で吐水量や湯温の調節ができる便利な水栓です。レバーを動かすだけでよいので、料理中に何か物を持っていて片手がふさがっている場合にも、楽に使うことができます。その点で水やお湯の使用頻度の高いキッチンや洗面所の水栓として人気があります。
水栓本体のレバーハンドルの下にバルブカートリッジがあり、この軸棒がレバーハンドルと連動しています。バルブカートリッジの軸棒をレバーハンドルで動かすことによって、バルブカートリッジ内が動き、お湯や水の通路を開閉して吐水や止水、湯水の混合などを行うとともに温度や水量を調整することができます。
サーモスタット混合栓
サーモスタット混合栓は、自動温度調節機能がついた水栓です。給湯器の温度や水圧が急に変わっても、出す水の温度を指定して一定に保つことができるので、丁度よい快適な温度の提供が求められる浴室などで、シャワー付きのサーモスタット混合栓が採用されることが多いようです。また、温度を一定に保つことが出来るので、急に熱いお湯出てやけどすることもなく、安全であるとも言えます。サーモスタット混合栓の金額の相場は他の水栓と比べて多少高い傾向がありますが、機能面から是非とも採用を提案したい商品です。
温度調節と水量調節のハンドルが別々についており、設定した温度によって湯と水の混ざり具合を自動で調節して吐水量を一定に保ちます。吐水量を変えたい場合も、設定された温度になるように湯と水の量が自動で調整されますのでとても便利です。
水栓本体の中には温度調節に関連するバネがあり、水栓内の湯温により伸び縮みして水量の調節バルブが動きます。水栓内の湯温が高くなればバネが伸びてお湯の量を減らし、温度が低くなると縮んで水の量を追加しすることで適温を保つという仕組みになっています。
ただし、サーモスタット混合栓は使い勝手が良い分、部品の数も多く内部が複雑な構造となっています。修理にも専門の工具や知識・技術が必要です。もし漏水や詰まりなどのトラブルが発生したときには、DIYに自信があって大丈夫だと思われる場合でも、水道工事の専門業者に修理やサポートを依頼してください。修理した後、温度調節機能がうまく働かなくなると危険です。